不飽和ポリエステル樹脂 <SMC・BMC>
不飽和ポリエステル樹脂<SMC・BMC>の特徴
不飽和ポリエステル樹脂は、無水マレイン酸とグリコールの縮合反応により得られるポリエステルを、スチレンやメチルメタクリレートに溶解したものを加熱硬化させた樹脂です。
一般に、ガラス繊維などの無機補強材を充てんした成形品として用いられ、ガラス繊維で補強した不飽和ポリエステル樹脂は、FRP(繊維強化プラスチック)の代表的なものです。
機械的性質は、通常はガラス繊維とともに使用され強靭です。熱的性質は、多量のスチレンモノマーを含んでいるため、他の熱硬化性樹脂(プラスチック)よりも荷重たわみ温度はやや低いが、耐寒性は-60℃以下でも強度的性質はほとんど影響を受けない。電気的特性は、熱硬化性樹脂(プラスチック)の中では良い方の部類に入り、電気部品に幅広く使用されています。
成形収縮率が低く、寸法安定性が極めて高いので、低い圧力で成形でき、成形性が良いので大型成形品に適しています。耐薬品性については、一般の酸には比較的強いがアルカリには弱い。硬化が速いので生産効率が高く、着色も自由にできます。
不飽和ポリエステル樹脂を使った代表的な材料としてBMCとSMCがあります。両者は、一般的に材料としての形状の違いにより呼称が区別されています。
BMC(Bulk Molding Compound)は、不飽和ポリエステル樹脂を主成分として低収縮剤としての熱可塑性ポリマー、硬化剤、充填材、離型剤を均一に混合したマトリックスに補強材として繊維(主としてガラス繊維)を使用した熱硬化性成形材料です。寸法精度、機械的強度、電気的性能、耐熱性、耐水性に優れています。
特にBMCは寸法精度に優れており、複雑な形状でも一体成形できるため、部品数、組み立て工数の削減ができ、研削工程が不要で大幅な合理化ができます。
SMC(Sheet Molding Compound)は、樹脂マトリックス中に、低収縮剤、充填材、添加剤等を加えた混合物を強化材に含浸させ、厚さ1~5ミリのシート状または、板状に加工した熱硬化性成形材料のことです。生産性、強度、耐熱性、表面性に優れています。
不飽和ポリエステル樹脂<SMC・BMC>の用途例
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住宅設備
バスタブ、防水パン、壁パネル、天井パネル、化粧パネル、水タンクパネル、浄化槽
- 自動車・鉄道車両部品
エアースポイラー、フロントパネル、エンジンカバー、天井パネル、窓枠キセ、テーブル、 発電機封止、ランプリフレクター、フラットモータ封止、フードバルジ
- 電気部品
トラフ、パラボラアンテナ、ブレーカー、分岐箱、電話ボックス、蛍光灯カバー
- 精密部品
液晶プロジェクタ、液晶プロジェクタ光学ユニット、DVDトレー、DVDハニカムベース
- 封止部品
洗濯機モータ・ロータ、エアコン用モータ、ファンモータ、隅取りモータ、冷蔵庫用モータ、水中ポンプ
- 重電部品
ブレーカ、低圧用スペーサー、絶縁フレーム、碍子
このようなお客様のニーズにお応えしました!
- ある機械のモータ(外径340ミリ、内径220ミリ、厚み80)を熱硬化性樹脂で封止してほしいとのご依頼
- 不飽和ポリエステル樹脂(BMC)を使い、樹脂が製品の隅々まで行き渡るように、銅線(コイル)の間に気泡ができないよう、樹脂の注入方法や成形条件を工夫し、トランスファー成形で製品を作らせていただきました。
- 直径100ミリのプロペラに使用するステータとローターの封止の依頼があり、防水仕様にしてほしいとのご依頼
- 収縮率0%の不飽和ポリエステル樹脂(BMC)を使って、トランスファー成形で成形することをご提案させていただきました。
- 電機部品を収める複雑かつ強度の必要な成形品(450×400×220ミリ)が必要とのご要望
- 成形収縮率の低い、ガラス繊維を28%含んだ不飽和ポリエステル樹脂(SMC)を使い、圧縮(直圧)成形で対応させていただきました。